楽曲への伝言

アクセスカウンタ

zoom RSS レオナルド・ゲルバーの演奏会を聴く・・・

<<   作成日時 : 2008/05/21 08:51   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

画像

アクロス福岡にてゲルバーのベートーヴェンの夕べがありましたが、曲目は中期三大ピアノ曲として、月光、悲愴、熱情、そしてワルトシュタインが加わりました。

最初は、月光の曲から始まりました。ピアノソナタ14番の『月光』は、ピアノを弾かれる方であれば、技術的には、左程難しい曲ではありません。それこそバイエルがきちんと弾ければ一楽章だけだったら弾くことはできます。

でも聴衆の面前で弾くとなれば、特にこの一楽章、プロでもなかなか難しいと思います。聴衆は、この曲に関しては耳が肥えていますし、一音でもミスタッチすればすぐわかり、この曲のムードからして、そんなことは許されません。

とても、スローなテンポなのですが、しっかりと全体の曲の流れをつかんで弾かないと、とんでもないぶち壊しになってしまいます。聴く方も真剣、弾く方も真剣・・・否応がなしに・・・ホールの緊張が高まってきます。

ゲルバーは、聴衆の期待した高まりを沈めるように淡々と弾きはじめました。ピアノはスタインウェイでしたが、音がまろやかに、そして渋く低く聞こえたので意外でした。これは、やはりゲルバーによる太い指から紡がれて出てきたこだわりの音なのでしょう。

月光の第二楽章と第三楽章のゲルバーによる演奏は、私の今までのイメージとは異なるものでしたので、『?』といった気持ちで聴いていましたが、ワルトシュタインの第二楽章、第三楽章で初めてゲルバーの素晴らしさに気付きました。ベートーヴェンの音楽がここにあるといわんばかりに、素晴らしい道案内をしてくれたのです。

ひょっとしたら、この辺でゲルバーは波に乗ってきたのかもしれません。それでも、彼の第二楽章、第三楽章での演奏には感心しました。ピアノ音楽が大好きな・・・そして、ベートーヴェンを尊敬する私にとって、第二楽章の大切さを改めて認識させてくれたゲルバーに感謝!

悲愴、熱情も同じく、聴衆を満足させてくれる名演奏だったと思います。やはり、ゲルバーは良くベートーヴェン音楽に研鑽されているなあ・・・と思わずにいられません。どんな曲でもプロにとっては誤魔化しの演奏は禁物でしょうが、特にベートーヴェン音楽は、耳の肥えた聴衆にはすぐに悟られてしまいます。

それと、技術だけでは弾けないベートーヴェン音楽の奥の深さは、プロすら恐れるものだと思います。音楽バカでは、ベートーヴェンは弾けないということを聡明な聴衆はすでに承知しています。

福岡の公演では、『月光』、第三楽章で最後の音が消えないうちに、拍手する調子者がいましたが、ワルトシュタインでは、最後の音が鳴り止んでも・・・一瞬静まって・・・外されたようにパラパラと拍手が始まりました。この時私も、ワルトシュタインの第二楽章、第三楽章をしっかり再認識させられましたので、圧倒された感じで拍手も遅れてしまいました。他の人もそうだったのかなあ?と思った次第です。

最後の『熱情』の時は、ゲルバーの演奏フォームに聴きなれて、しっかりと『熱情』を聴き入ることができましたが、流石に、ベートーヴェンのこんな有名な曲を四曲も集中して聴くのは、疲れますね。そんなことを云うのは贅沢と言えば贅沢ですが、事実疲れました。

ゲルバーは、真のブラボーの叫び声と拍手の中、一度は挨拶に出て来られましたが、鳴り止まぬ拍手の前には、二度とは現れませんでした。それでも拍手が鳴り止まなかったので、放送にて終了のアナウンスで演奏会の幕が閉じられました。

アンコール無しの演奏会は、誰でも数少ない経験でしょうが、私は大満足で帰りました。福岡の聴衆が気に入らなかったのか?、ただ疲れていただけなのか?、それともこれで充分であったと感じたのか?ゲルバーにどんな考えがあってアンコールしなかったのかはわかりません。

大切なことはゲルバーが演奏したこの四曲をしっかり受け止めて、さらにベートーヴェン音楽を堪能する楽しみを持てた喜びに対して、聴衆はゲルバーに感謝すべきでしょう。

by 大藪光政

月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
レオナルド・ゲルバーの演奏会を聴く・・・ 楽曲への伝言/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる